夢の話〜今でも忘れられない〜
ーーーーーーーふと目を開けるとボクは森の真ん中に立っていた。
目をこすりながらぼんやり見える非現実的な景色を目の前に
妙に落ち着いてその現状を受け入れているボクが確かに居た。
マリオネットのように目的もなく歩きだすが
なに一つ変わることないそれが永遠に続いている様だった。
途方もなく歩き続けることに嫌気がさす程の歩数は歩いただろうか。
これが夢であるのならばなんて地味な夢だろう
夢の中くらい派手にロックスターを気取ってみたいものだ。
誰しもが本当の人生の真反対の経験を夢でする。
これが夢だと言われれば
いっそのことこのチンケな森を裸になって闊歩してやろうか
とも思ったが
どうやらボクは夢の中でもチキン野郎だったみたいだ。
これが現実の縮図だというならば
なんてチープな人生なんだろうか
やっぱりボクは“選ばれなかった”のか
またこんなことを繰り返すのか
あと何回、あと何度繰り返せば“選ばれる”のだろうか
夢と現実の境がわからなくなった頃
ふと道行く先に明るく賑やかな場所が見えてきた
ーーーーーーーーーーーーあそこに行きたい
ボクはどうやらあの場所を目指していた様だ。
なんだ、少しは夢っぽくなってきたじゃないか
ボクの足取りは思いの外軽くなっていたーーーーーーーーー
続く